あおいのMEちゃんねる

臨床工学技士1年目です。オペ室勤務

【臨床工学技士 国家試験 解説】人工呼吸器の波形の問題です!(第30回午前66)

こんにちは、あおいです。

今回は、臨床工学技士国家試験に出題された「人工呼吸器の波形を見てコンプライアンスを求める問題」を解説していきます。

 

授業で習っていないと難しいと思うので、丁寧に解説していきます。

1.問題

 人工呼吸中に図のような波形が観察されるとき、肺胸郭静的コンプライアンス値[mL/cmH2O]はどれか

 

[引用元:https://mgkca.com/question/view/2/10?page=2]

  1. 12
  2. 20
  3. 25
  4. 33
  5. 100

 

2.答え

4番 33mL/cmH2O

3.解説

 ①静的コンプライアンスと動的コンプライアンスって何?

「静的コンプライアンス」というのは、「人工呼吸器からの空気の流れがゼロのときの肺の膨らみやすさ」です。一般的に言う「肺コンプライアンス」は「静的コンプライアンス」のことを指します。

空気の流れがないので、人工呼吸器の力を含まない、純粋な肺の膨らみやすさを知ることができます。

 

一方「動的コンプライアンス」というのは、「人工呼吸器からの空気の流れがあるときの肺の膨らみやすさ」です。

 

今回は前者の静的コンプライアンスを求める問題ですね。

 ②ピーク圧とプラトー

問題の気道内圧のグラフを見ると、一回頂点まで気道内圧が上がって、そのあと気道内圧が一定になっているのが分かりますか?

この気道内圧の最も高い圧力をピーク圧、一定部分の圧力をプラトーといいます。

 

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空気が肺胞まで到達するときは、まず空気は抵抗のある気道を通ることで気道内圧(ピーク圧)が生まれます。

その後、吸気の終わりに肺胞に均等に空気を行き渡らせるため、人工呼吸器からの流量をゼロにすることで、肺胞を膨らませようとする圧(プラトー圧)が生まれます。

プラトー圧が一定になっているのは、流量をゼロにしているからです。

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つまり静的コンプライアンスは、上の図の青い矢印の圧がかかっている時のコンプライアンスです。

③静的コンプライアンスを求める式

静的コンプライアンスは下の式で表せます。

コンプライアンスを求めるので容量と圧力の情報が必要です。

 

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まずは1回換気量を求めてみましょう。

問題の流量波形を見ると、1秒間で30L/min流れているのが分かりますね。

60秒で30000mL流れているので、1秒間では500mL流れています。

よって1回換気量は500mLです。

 

肺胞を膨らませるための圧力はプラトー圧なのですが、今回はPEEPがかかっているのでプラトー圧からPEEPを引いた圧力が肺胞を膨らませている圧力になります。

 

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よって答えは、4番の33mL/cmH2Oとなります。