1.「α-STAT法」と「pH-STAT法」って何?
「α-STAT法」と「pH-STAT法」は、人工心肺中のpH管理の方法のことを言います。
人工心肺では患者さんを低体温にしますが、そのときPaCO2は低下して動脈血pHは上昇(アルカリ性になる)ので呼吸性アルカローシスになります。
アルカローシスを補正するための管理法には2種類あり、それが「α-STAT法」と「pH-STAT法」です。
2.α-STAT法
体の温度を37℃に換算して血液ガス分析を行い、PCO2とpHを正常範囲(PCO240mmHg、pH7.4)に維持する管理法です。
例えば、送血温が20℃だとしても37℃に換算してPCO240mmHg、pH7.4に維持します。
つまり、この場合37℃を基準にしてPaCO240mmHg、pH7.4に保つので、本来の体の温度である20℃に換算すると血液ガス分析ではアルカローシスになります。
<37℃に換算して測定>
- PaCO2 40mmHg
- pH 7.4
↓
<本来の体の温度20度で測定>
- PaCO2 18mmHg
- pH 7.65
※数値は例です
3.pH-STAT法
採血した時点でのそのままの体の温度(体の温度が20℃なら20℃)で血液ガス分析を行います。そして、アルカローシスを補正するために外部から人工肺に二酸化炭素を加えてPaCO2やpHを調節し、正常範囲(PaCO240mmHg、pH7.4)に維持します。
つまり、この場合本来の体の温度である20℃を基準にしてPaCO240mmHg、pH7.4に保つので、37℃に換算すると血液ガス分析ではアシドーシスになります。
<20℃で測定>
- PaCO2 40mmHg
- pH 7.4
↓
<37℃に換算>
- PaCO2 91mmHg
- pH 7.15
4.「α-STAT法」と「pH-STAT法」の違い
<α-STAT法>
- 人工肺に二酸化炭素を投与しない
- 体の温度を37℃に換算して血液ガス分析を行う
<pH-STAT法>
- 人工肺に二酸化炭素を投与する
- 採血した時点での体の温度で血液ガス分析を行う