あおいのMEちゃんねる

臨床工学技士を目指す大学3年生(20)です。

10分で分かるクリッパ回路の原理

f:id:aoichannel0620:20210918221215p:plain

今回は「ダイオードの基本的な仕組み」と「クリッパ回路の原理について説明します。

クリッパ回路というのは、ダイオードやバイアス電圧の向きによっても出力波形は変わりますが、こんな波形になります。

f:id:aoichannel0620:20210918210059j:plain

一見難しそうに思えますが、ダイオードの仕組みさえ理解していれば簡単に分かります。また、クリッパ回路を解くときは入力電圧ごとに場合分けして出力波形を考えます。

1.ダイオードの基礎

まずはダイオードの基本をおさらいしましょう。

 〇順方向電圧

f:id:aoichannel0620:20210918201446j:plain

順方向電圧をかけるときはアノードの電位がカソードの電位より大きいときです。このとき抵抗は0[Ω]になりますから、1本の導線と同じような状態になります。

 〇逆方向電圧

f:id:aoichannel0620:20210918201531j:plain

一方、逆方向電圧をかけるときは、カソードの電位がアノードの電位より大きいときです。このとき抵抗は無限大になりますから、導線が切れたのと同じ状態になります。つまり電流は流れません。

2.クリッパ回路の動作原理

 〇パターン1

まずは下の回路パターンを見ていきます。

左の回路にVi=Vmsinωt[V]を入力したときの出力波形を考えてみましょう。入力電圧は右のようなVmが最大値の正弦波です。

f:id:aoichannel0620:20210918201707j:plainf:id:aoichannel0620:20210918201754j:plain

 

  ・0<Vi<Eのとき

ViはEより電位が小さいので、電流は反時計回りに流れます。するとダイオードには順方向電圧がかかるので、ただの導線と化します。b点を0[v]とし、基準点として考えると、a点はE[V]になりますね。

f:id:aoichannel0620:20210918203749j:plain

出力波形は下の赤線のようになります。

f:id:aoichannel0620:20210918203841j:plain

  ・E<Vi<Vmのとき

EよりViの方が電位が大きいので、仮に電流が流れるとしたら時計回りに流れます。するとダイオードには逆方向電圧がかかるので、断線と同じ状態になり、回路には電流は流れません。

つまりI=0[A]。するとRの電圧降下もV=I×Rより0[V]になるので、抵抗部分はただの導線と化してしまいます。

b点を0[v]とし、基準点として考えると、a点はVi[V]になりますね。

f:id:aoichannel0620:20210918205951j:plain

出力波形は、0<Vi<Eの波形と合わせるとこんな感じ。

f:id:aoichannel0620:20210918204846j:plain

  ・-Vm<Vi<0のとき

Viがマイナスの時はViの絶対値がEより大きかろうと小さかろうと電流は反時計回りに流れます。

ダイオードには順方向電圧がかかるので、b点を0[v]とし、基準点として考えると、a点はE[V]になりますね。

f:id:aoichannel0620:20210918205609j:plain

-Vm<Vi<0のときの出力はE[V]なので、これまでの波形と合わせると出力波形は下のようになります。

f:id:aoichannel0620:20210918210059j:plain

 〇パターン2(ダイオードとバイアス電圧の向きを反転)

パターン1のダイオードと電池の向きが逆になったパターンを考えてみます。入力電圧パターンはパターン1と同じです。

f:id:aoichannel0620:20210918210815j:plainf:id:aoichannel0620:20210918201754j:plain

  ・0>Vi>-Eのとき

-EのほうがViより電位が小さいので、仮に電流が流れるとしたら時計回りです。

「-Viの方が大きいなら、電流は反時計回りに流れることになるのでは・・・?」と思った方もいると思いますが、電流は時計回りです。

f:id:aoichannel0620:20210918211617j:plain

この回路を横から見たら上のように表せます。
水が落差の大きい方に流れるのと同じように、電流も落差の大きい-Vi[V]の方(時計回り)に流れます。

ダイオードに順方向電圧がかかるので導線と同じ状態になります。

b点を0[v]とし、基準点として考えると、a点は-E[V]になりますね。

f:id:aoichannel0620:20210918212829j:plain

出力波形はこんな感じ。

f:id:aoichannel0620:20210918213354j:plain

  ・-E>Vi>-Vmのとき

ViがEより電位が小さいので、電流は反時計回りに流れます。ダイオードには逆方向電圧がかかるので、断線と同じ状態になります。するとこの回路には電流は流れないということになりますね。

つまりI=0[A]。するとRの電圧降下もV=I×Rより0[V]になるので、抵抗部分もただの導線と化します。

b点を0[v]とし、基準点として考えると、a点は-Vi[V]になりますね。

f:id:aoichannel0620:20210918214526j:plain

出力波形は、0>Vi>-Eの波形と合わせるとこんな感じ。

f:id:aoichannel0620:20210918214621j:plain

  ・Vi>0のとき

Viが正のときは、Viの絶対値がEより大きかろうと小さかろうと電流は時計回りに流れます。

ダイオードには順方向電圧がかかるので、a点は-E[V]、b点は0[V]となりますね。

f:id:aoichannel0620:20210918215037j:plain

Vi>0のときの出力波形は、これまでの波形と合わせると下のようになります。

f:id:aoichannel0620:20210918215353j:plain

 〇ピーククリッパとべースクリッパ

パターン1と2の他に、あと2通りダイオードと電池の配置の仕方があります。

まずはこれ。

f:id:aoichannel0620:20210918220058j:plain

これも、パターン1や2と同じように考えると出力波形はこうなります。

f:id:aoichannel0620:20210918215842j:plain

波形のトップの部分だけカットされていますね。この波形になる回路をピーククリッパといいます。

一方、こちらの回路。

f:id:aoichannel0620:20210918220239j:plain

出力波形はこんな感じ。

f:id:aoichannel0620:20210918220128j:plain

波形の底の部分だけカットされています。このような波形になる回路をべースクリッパといいます。

3.クリッパ回路のまとめ

クリッパ回路は、ダイオードの特性をしっかり理解していれば解ける問題です。慣れないうちは、入力電圧ごとに場合分けして出力波形を考えてみましょう。