【第2種ME試験】「漏れ電流許容値」を頑張って覚えよう!
漏れ電流許容値を、表を見ながらただただ暗記している人はいませんか?
なぜそのような値になるのかを考えながら覚えると理解しやすいですよ!
※JIS T 0601-1:2017で、
- 「外装漏れ電流」→「接触電流」に変更
- 患者漏れ電流Ⅰ,Ⅱ,Ⅲの名称変更
- 「合計患者漏れ電流」が追加
- 「mA」表記→「μA」表記に変更
など、漏れ電流許容値は大きく変更されました。
漏れ電流許容値は下の表の新しいものを覚えましょう。
昔の許容値バージョンになっている過去問には注意してください。
1.接地漏れ電流
装着部位に関わらず同じ値になっているのは、接地漏れ電流は装着部に流れないからです。だから、接地漏れ電流は装着部位に関係ないのです。
2.接触電流
装着部位に関わらず、正常状態では100μA(0.1mA)です。
もし、接触電流が体に流れると、皮膚を介して流れるのでマクロショックが起こります。
そのため、マクロショックが起こらないよう、余裕を持って最小感知電流(1mA)の1/10になっています。
単一故障状態では500μAです。最小感知電流(1mA)の1/2になっています。単一故障状態許容値は、正常状態許容値の5倍だからです。
3.患者測定電流
〇交流
B形装着部、BF形装着部から流れる漏れ電流はマクロショックを起こす可能性があるため、接触電流同様、正常状態では100μA(最小感知電流の1/10)、単一故障状態では正常状態の5倍の500μA(最小感知電流の1/2)になっています。
一方、CF形装着部のみ許容値が違います。
B形装着部、BF形装着部はマクロショックが関係していましたが、CF形装着部から漏れ電流が流れるとミクロショックを起こす可能性があります。
そのため、正常状態はミクロショックを起こす0.1mA(100μA)の1/10になっています。
単一故障状態では正常状態の5倍の50μA(心室細動電流の1/2)になっています。
〇直流
直流の場合の許容値は、交流の場合のCF形装着部の許容値と同じです。
人体は、交流よりも直流に反応しやすい性質があるため、少しの直流電流が体に流れるだけでショックを起こしてしまいます。その分、漏れ電流許容値も下げてあげないといけません。
交流の場合のCF形装着部に漏れ電流が流れるとミクロショックが起こる可能性があります。ミクロショックは0.1mAという非常に小さな電流で起こるので、その分漏れ電流許容値も下げないといけません。
結果、直流の場合の許容値と、交流の場合のCF形装着部の許容値が同じになるのです。
4.患者漏れ電流
患者漏れ電流の許容値と患者測定電流の許容値は、どちらも患者を介して流れる電流なので全く同じです。
そのため、患者漏れ電流か患者測定電流の許容値どちらかを覚えていれば大丈夫です。
5.合計患者漏れ電流
そもそも「合計患者漏れ電流」とは何でしょうか。
医療機器の中には、生体情報モニタのように、1つの機器にいくつもの装着部があるものがあります。
その全ての装着部から患者を介して流れる漏れ電流の合計値のことです。
ということは、ただの「患者漏れ電流」より許容値が上がることは分かると思います。
正常状態では、患者漏れ電流許容値の5倍、単一故障状態では患者漏れ電流許容値の2倍になっています。
※図にも書いていますが、合計患者電流は同じ形の装着部同士をまとめたときの漏れ電流です。
B形装着部とCF形装着部からの漏れ電流を合わせても合計患者漏れ電流とは言えません。
6.第2種ME試験より例題
合計患者漏れ電流の測定について正しいのはどれか
(41PM48)
- 複数の装着部からの漏れ電流値を個別に測定し合計する
- 直流と交流の漏れ電流値を測定し合計する
- 同時使用する2つ以上のME機器からの漏れ電流値を合計する
- 同一形の装着部を一つにまとめて漏れ電流値を測定する
- 装着部間に流れる漏れ電流値を測定する
上の絵を参考にしてもらえれば分かると思います。
答えは4番です。
「同一形」とは、B形ならB形でまとめて、BF形ならBF形でまとめて測定するという意味です。
ちなみに、選択肢5番は患者測定電流の説明ですね。
7.まとめ
根拠を理解すると覚えやすいですよ!