【臨床工学技士 国家試験 解説】電子工学が苦手な学生は必見です。(第21回午後8)
今回は、苦手な人も多い「合成インピーダンス」を求める問題を扱っていきます。
1.問題(第21回午後8)
※この問題は不適切問題だったので、一部答えを変えて正しい問題にしています。
図の回路のインピーダンスの絶対値はどれか。ただし、ωは角周波数である。
2.解説
〇合成インピーダンスを求める公式を確認
まず、合成インピーダンスを求めるための公式を確認しておきましょう。
今回は並列回路なので下の式を使います。
上の図の「Z1」「Z2」は、実際の問題で言うとそれぞれ「Rのインピーダンス(R)」「Cのインピーダンス(1/jωC)」に当たります。
並列回路の式に「R」「jωC」を当てはめてみましょう。
これで、抵抗とコンデンサ並列回路の合成インピーダンスが求まりました。
〇合成インピーダンスの絶対値(大きさ)を求める
問題で聞いているのは合成インピーダンスの「絶対値(大きさ)」です。
さっき求めた
は、あくまでも「合成インピーダンス」で、「合成インピーダンスの大きさ」ではありません。
ということで、合成インピーダンスの大きさを求めてみましょう。合成インピーダンスの大きさを求めるときは、分母と分子に分けて考えます。
・分子の絶対値を求める
まずは分子です。分子の「R」の大きさはそのまま「R」なので「R」で大丈夫です。
・分母の絶対値を求める
次は分母です。分母では複素数の大きさを求めるので、下のようなグラフを使います。
「1」は実数なので横軸、「jωCR」は虚数なので縦軸に置きます。
1+jωCRの大きさは、横軸に1,縦軸にωCR分だけ進んだ距離です。
三平方の定理より、
と求められます。
こうして、分子と分母それぞれの大きさを求めることができました。
求めた分子と分母の大きさを組み合わせると、
となり、答えは5番になります。
3.まとめ
- 並列回路と直列回路の合成インピーダンスを求める式を押さえる!
- 分数の絶対値を求めるときは分子と分母に分けて考える
- 複素数の絶対値を求めるときは三平方の定理を使う