IABPの合併症で腸管虚血が起こる理由2つ
ある日、臨床工学技士国家試験の問題を解いていたとき。
こんな問題が出てきました。
IABPによる合併症で誤っているのはどれか。
(臨床工学技士国家試験 第30回 午後73)
- 腸管虚血
- 大動脈解離
- 血小板数の減少
- 細菌感染
- 急性心筋梗塞
答えは5番なのですが、
そのとき「えっ?!なんでIABP使ったら腸管虚血になるの?」と疑問に思いました。
IABPって心臓の動きを助けるはずなのになんで逆に血流が悪くなるわけ?
多分同じように思った人もいるはず・・・。
解説には肝心の理由が書いてありません。
そこで、自分なりに調べてみましたので、分からなかった人は要チェックです。
いろいろ理由はありますが、その中でも理解しやすい理由を2つピックアップしてみました。
1.体格に合わない長すぎるバルーンを使っているから
IABPは下行大動脈に留置します。
そして下行大動脈をさらに下に進むと、腸に分岐する動脈が現れます。
普通は、他の臓器に分岐する動脈をふさがないようにバルーンを留置しますが、バルーンが長すぎると、腸に分岐する動脈をふさいでしまうことになります。
その結果、腸管虚血となるのです。
2.シースが邪魔をしているから
シースというのは、カテーテルを抜き差しするときの出血を減らすための道具です。
カテーテルにはいろいろな種類があり、状況により使うカテーテルを変えるときがあります。
そんな時に、いちいち皮膚を介して直接抜き差ししていたら血がビュービュー出てしまい大変なことになります。
だから、皮膚にあらかじめストローのようなカテーテルの出入り口を作っておくことで、抜き差しをしやすくしているのです。
そんなシースはIABPでも使います。
ですが、そのシースが血管を塞いでしまうことで、虚血になってしまいます。
シースを使わないでバルーンを挿入したり、細いバルーンを使ったりすることで虚血の発生頻度を抑えることができます。